やっぱり住宅見学は最高におもしろいですね。
住まいは、そこに住む人のために作られている。
まことに、当たり前のことでありますが、
そのことは、人の暮らしを見つめるあたたかいまなざしが不可欠。
寒さ暑さから人を守る、という基本から、
もっと楽しいくらしが実現できるようにと願う気持ちにまで、
いわば工学から人間学まで、幅広いポイントで一気に解を得る創造行為。
敷地条件を柔軟に感受し、配置から考え
環境要件から、細部の仕上げディテールまで
その家族がどのように暮らすのがシアワセであるかを手作りで探っていく営為。
そんなことが伝わってきて、つねに新鮮な気付きがあるものです。
一昨日、札幌近郊千歳市・恵庭市などの
周辺地域で、合計7件の住宅を視察しました。
完成し入居している現場もあり、工事中の現場もありました。
そのなかのとある一軒で、
写真のような壁面一杯のコルクボード装置を発見。
手前に食卓椅子の背があるのでおわかりいただけるように
これは、家族が3度3度集まる食堂テーブルに面して配されている。
ごくふつうにある光景だと思うのですが、
あらためて見入ってしまった次第です。
というのは、家というのは家族生活の場であるワケで
その家族のコミュニケーションの媒介・メディアもまた
いろいろに想像しうるな、と改めて感じさせられたのです。
この家の「コルクボード」は、左右幅が3m近い。
当然、市販品では売っていないような大型サイズの造作なのです。
家族生活上の備忘録になっていたり、ゴミ収集のスケジュールであるとか
旅行のイメージを膨らませる相談メディアとしての地図であったり
それこそ、種々雑多な生活情報が、一目瞭然になっている。
聞いたら、こういう目的もあって食堂の背面壁を大きく作ったという。
こういったボードをお互いに一緒に見ながら、
家族同士の話し合い、情報共有が進められていく。
「ねぇ、今度の週末、◎◎に行かない?」
「おお、いいな、えっと◎◎はここだから、っと」
「あ、そうしたらさ、△△も近いから、行ってこようか」
「昼飯は、どこで食べようか」
「そうだ、おいしいラーメン屋さんがないかな?」
・・・みたいな、家族の暮らしがイメージできたりしてきます。
その家族にとって情報頻度の高いものがおのずとピンナップされ、
それを媒介として会話が膨らんでいくのだと思うのです。
壁には、そういった使用途が大きくあることに大きく気付かされる。
こちらのご家族にとっては、こういう大きな壁面ボードが
かけがえのない情報装置として機能し、
家族のコミュニケーションを活発にさせている様子が
そこはかとなく伝わってくるのです。
ほんのちょっとの断片的装置だけれど、
こういった部分まで話し合いできることが、注文住宅のメリットだなと
そんな印象を持って見ていた次第であります。
Posted on 2月 19th, 2015 by 三木 奎吾
Filed under: 住宅取材&ウラ話
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